インプラント治療の流れ
インプラント治療には、厳密な診査やインプラントの設計、手術など多くのプロセスがあります。
埋め込む本数や場所、元々の歯の状態によって異なりますが、どの場合でも完了までには一定期間が必要です。
インプラント治療のプロセスや治療期間の目安について、加部歯科医院を例にご説明いたします。
治療期間の過ごし方や、術後の注意点についても紹介しますので、参考にしてください。
加部歯科医院のインプラント治療のプロセス
1.カウンセリング・診査
まずは、現在のお悩みやインプラント治療を行う上で心配な点など、カウンセリングで詳しくお伺いいたします。
少しでも安心して治療に臨んでいただくために、疑問点の解消は重要だと考えているからです。
その上で、お口の中の状態を確認させていただきます。
虫歯・歯周病の有無や噛み合わせ、筋肉の状態、顎関節などを詳しく検査します。
状態にもよりますが、虫歯や歯周病が見つかった場合は、先に虫歯治療・歯周病治療を行った方が良いでしょう。
3Dでシミュレーションしながらインプラントの治療計画を立てる
まずは、最新鋭の歯科用CTで撮影を行います。
CTデータはソフトで解析し、顎の骨格や神経の位置などを丁寧に確認。理想的なインプラントの形や、埋め込む角度を3Dでシミュレーションします。
そして、その結果を元に、インプラントの立体的な設計図(ガイド)を作ります。
シミュレーションとガイドを用いた治療は「ガイデットサージェリー」と呼ばれます。
ガイデットサージェリーは、インプラント手術の安全性と精度を高めながら、手術時間の短縮など、患者様の負担軽減も叶える方法です。
この段階で、インプラントの本数や上に被せるクラウン・土台の材質、追加で必要になる手術なども含めて、詳細な治療計画を立案いたします。
ご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
2.インプラント手術(1回目)
いよいよ1回目のインプラント手術です。
手術と言っても入院の必要はなく、当日にご帰宅いただけます。
手術の前には、お口の中全体をクリーニングし、麻酔(部分麻酔または静脈麻酔)を行います。その後、滅菌ドレープをおかけして、手術開始です。
歯茎にインプラントを埋める
歯茎を開いて、インプラントを埋め込むための穴を開けます。
ガイドを使い、正確な角度・深度の穴を開けていきます。歯茎の状態によっては、治癒能力を高めるために成長因子・レーザーなどを用いることもあります。
穴にインプラントを埋め込んだ後、髪の毛のように細い糸で縫って歯茎を閉じます。(1~2週間後、抜糸のために再来院いただく必要があります。)
本数によって異なりますが、手術時間の目安は1.5~2時間ほどです。しっかり時間をかけ、丁寧に行います。
なお、この時間にはクリーニングや麻酔も含まれています。
骨の回復を図る治療を行うことも
骨や粘膜の状態によっては、骨の回復を図る治療も必要です。当院では、骨再生誘導法(GBR)や骨移植(ソケットリフト、サイナスリフト)を併用します。
この場合、通常のインプラント手術に加えて1~3時間ほどかかります。
3.インプラント手術(2回目)
1回目の手術後、インプラントと骨がしっかりと結合したら、2回目の手術を行います。
2回目までの期間は個人差やインプラントを行う歯の場所によっても異なりますが、通常は6~8週間ほどです。骨の回復を図る治療を行っている場合は、3~6ヶ月ほどになります。
(その間、月に1回クリーニングに通っていただきます。)
2回目も入院の必要はなく、その日のうちにお帰りいただけます。
インプラントの頭を出し、歯茎のラインを整える
2回目の手術では、健康な状態に回復した歯茎を開き、インプラントの頭を出して、アバットメント(土台)を装着します。
その後、磨きやすく、ものが詰まることなくスムーズに食べられるよう、歯茎のラインを整えます。
4.仮歯の装着
続いて、仮歯の装着を行います。
仮歯には、噛み合わせと歯茎の安定を図るという大切な役割があります。このような目的を持つ仮歯は、「プロビジョナルレストレーション」と呼ばれています。
当院では、最後に被せる本歯と色・形が近い仮歯を装着します。
プロビジョナルレストレーションで歯茎が安定し、インプラント治療後の仕上がりが良くなるだけではなく、早い段階で自然な見た目の歯を手に入れていただけることもメリットです。
5.型とり
人工歯・クラウンなどと呼ばれる被せ物を作成するために、型とりを行います。
当院には、人工歯を作成する歯科技工所が併設されています。
形・噛み合わせはもちろん、理想の色についても、歯科技工士と直接ご相談いただけます。
6.被せ物の装着
型とりから1~2週間ほど経過した後、再度来院いただきます。
アバットメントの上にクラウンを被せ、噛み合わせに問題がないかなど、細かく調整します。
装着後は、お手入れの方法などを練習して完了です。
7.定期的なメンテナンス
通常は3ヶ月ごとを目安に通院いただき、メンテナンスを行います。
メンテナンスでは、医師と担当の歯科衛生士がインプラント部分の状態やお手入れの状況、噛み合わせなどを細かく確認します。
インプラント治療期間の目安
個人差がありますが、上下どちらも最短で3ヶ月、骨の回復を図った場合は半年から1年ほどが目安です。
当院では、噛み合わせ・骨の状態・歯肉の状態を精査し、最短で最良の結果が得られるよう治療させていただきます。
インプラント治療期間の過ごし方
基本的に、いつも通りお過ごしいただけます。お仕事や学校など、日常生活に支障をきたすことはありません。
ただし、丁寧な歯磨きだけは忘れないようにしてください。
インプラント手術直後の注意点
インプラント手術の直後、麻酔が切れると痛みを感じる可能性があります。痛み止めをお渡ししますので、痛みが強いと感じる場合は無理せず服用し、痛みを和らげましょう。
その他にも、以下の点にご注意ください。
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喫煙
術前・術後2週間は控えてください。
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食事
傷口に障るような刺激のあるものや熱いものは避け、柔らかいものを食べるよう心がけましょう。
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飲酒・運動
歯茎の腫れを感じる場合は、直後の3日ほどは控えましょう。(腫れは長くても1週間ほどで治まります)
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お風呂
当日はシャワーのみとしてください。
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抗生物質
術後は必ず服用し、飲みきってください。
また、骨の回復を図る手術を行った場合は、一時的に頬にアザが出ることがあります。
時間が経てば自然に薄れますので、ご安心ください。
インプラント治療後はメンテナンスが重要
インプラントの寿命は術後の手入れ・メンテナンス次第
インプラントは、正しくきちんとお手入れすれば、それだけ寿命が延びます。
最近のデータでは、10年以上前にインプラントをした方のうち、97%以上は全く問題なく経過していることがわかっています。
材質的には半永久的に持ちますが、インプラントの実際の寿命は、手入れ・メンテナンス次第で大きく変わります。
歯ブラシはもちろん、歯間ブラシやデンタルフロスも併用して、丁寧にお手入れしましょう。具体的な方法は、メンテナンス時に担当医や歯科衛生士が指導させていただきます。
お手入れが不足すると歯周病(インプラント周囲炎)に
インプラントでおつくりした歯には、天然歯のような噛んだときのクッションがわりになる組織や、噛み合わせセンサーの組織がありません。
お手入れが不足すると、すぐに歯垢がたまります。
歯垢がたまると歯周病の原因となる細菌が繁殖し、炎症が起きます。やがて出血や口臭が気になるようになり、さらに進行すると、歯茎が痩せて、せっかく埋め込んだインプラントを支えられなくなる恐れもあります。
インプラントの周りで起きる歯周病は「インプラント周囲炎」と呼ばれ、天然歯よりも早く進行します。
インプラント周囲炎の予防には定期的な検診が必要
よほど悪化しないかぎり、ご自身でお口の中の変化に気づくのは難しいでしょう。
加部歯科医院のインプラント治療後のメンテナンスでは、インプラント周囲炎が起きていないか、健康な状態を保てているかどうか、くまなく確認します。
仮にインプラント周囲炎が起きていたとしても、早い段階で発見できていれば短期間で治療可能です。定期的なメンテナンスで、インプラント周囲炎の予防・早期発見に努め、インプラントを長持ちさせましょう。
インプラントにも優しいエアフローを使ったPMTC
加部歯科医院では、「予防歯科クリーニング(PMTC)」のメニューもご用意しています。
PMTCは「プロフェッショナル・メカニカル・ティース・クリーニング」の頭文字で、「専門家による・専用の機械を使った・歯の・クリーニング」を示す言葉です。
普段の歯磨きでは除去しきれない歯と歯の間の歯垢もしっかり取り除けるので、虫歯や歯周病の予防に非常に効果的です。
当院のPMTCでは、ウォータースプレーで歯垢を取り除くエアフローを使用しています。
通常よく用いられる研磨剤と異なり、インプラントや詰め物・かぶせ物を傷つける心配はありません。インプラント治療後の方に大変おすすめです。