歯科用マイクロスコープ(顕微鏡)による精密治療とは

加部歯科医院  伊藤一真

記事監修医師

歯科医師 伊藤 一真
咬み合わせ認定医(日本顎咬合学会認定)/ 歯内療法学会/歯周病学会/顎咬合学会/ 日本臨床歯科学会(SJCD)東京支部/第二種歯科感染管理者

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マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)とは

マイクロスコープ(手術用実体顕微鏡)

マイクロスコープとは小さい物体を拡大し、肉眼や拡大鏡では確認できないトラブルを発見できるお口の中専用の顕微鏡です。
一般的に虫歯菌や歯周病菌などは数ミクロンのサイズであるため、肉眼レベルで問題がないように見えても実際には深刻な状態であることも珍しくありません。
もちろんマイクロスコープを覗いたとしても細菌まで見ることはできませんが、全ての治療の精度を高めるという意味においては、再治療のリスクを下げる唯一の機器となります。

当院では2台のマイクロスコープを導入しており、最大25倍まで倍率を上げることで、より確実な治療を提供しています。

マイクロスコープを使うメリット

確実な診査が可能

マイクロスコープで拡大して治療

肉眼ではピッタリ合っている被せ物でも、マイクロスコープで確認すると虫歯があったり、わずかな隙間にプラーク(細菌)がはまり込んでいたりすることは日常茶飯事です。
全ての歯科治療は細菌の徹底的な除去を目的としていますので、肉眼レベルの確認では不十分であると言わざるを得ません。

治療の精度を高めることはそのまま再治療のリスクを減らすことになり、結果として歯を守ることにつながります。
加部歯科医院では仮に保険内の治療であっても、必ず3〜5倍に拡大できる拡大鏡を使用し、その精度を高めることに尽力しています。

最小限の侵襲

治療が必要になった際にもマイクロスコープを覗くことで、大きなメリットが得られます。例えば、虫歯治療では虫歯のみを削り取ることは不可能であり、多かれ少なかれ周囲の健康な歯も削ってしまいます。
もちろんたくさん削ってしまえば虫歯も取り切ることはできますが、一度削った歯は決して戻ることはなく、そのまま歯の劣化につながってしまいます。

しかし、マイクロスコープを覗くことで確実な虫歯の除去はもちろん、健康な歯を限りなく削ることなく治療することが可能です。
もちろん歯周病治療や外科処置など、全ての治療において必要最小限の侵襲で治療することができ、結果として早期回復を促したり再発リスクを低減することができます。

治療過程の可視化

加部歯科医院のマイクロスコープには録画機能が搭載されており、治療する際は常に録画をしながら行っています。
治療後には、実際に治療部位や治療中の様子を動画で確認していただけるため、患者様からは非常にわかりやすいと好評をいただいております。

歯科治療におけるマイクロスコープの用途

精密根管治療(マイクロエンド)

虫歯が歯の中にある神経まで到達してしまうと、神経を抜く治療(根管治療)が必要になります。
歯の中にある神経は迷路のように複雑で細く、一般的な治療法では歯の内部を見ながら治療することができないため、確実な感染源の除去は不可能だと言われており、その成功率は50%を切ります。

しかし、マイクロスコープを覗くことでその成功率は飛躍的に上昇し、昨今では根管治療においてマイクロスコープは必須級の機器であることに疑いの余地はありません。ただし、マイクロスコープを覗けば誰でも治癒に導けるかというとそういう訳ではなく、非常に細かい操作を求められるため、ドクターに要求されるスキルも大きくなります。
そのため加部歯科医院ではドクターごとにマイクロスコープを導入しており、ほぼ毎日治療に使用しながら研鑽を重ねています。

虫歯治療

虫歯と健康な歯の境は非常に不明瞭であり、虫歯のみをピンポイントで除去することは現実的に不可能です。
そのため一般的な治療では大きく削ることで確実に虫歯を除去しようとしますが、削れば削るだけ歯は弱くなり、結局歯が割れてしまってそのまま抜歯になることも少なくありません。
この場合もマイクロスコープを覗くことで、健康な歯を削る量を限りなくゼロにすることができ、歯の寿命を減らすことなく治療を完了することが可能です。

歯周病治療

歯の表面には着色や歯石など、さまざまな異物が付着します。
その付着量が多ければ多いほど、表面は粗造になり細菌が付着しやすくなります。
歯周病治療ではそういった異物を徹底的に除去しツルツルに仕上げることで、細菌が付着しにくく、さらにお掃除もしやすい環境をつくります。
もちろんマイクロスコープを覗くことでより滑沢な表面に仕上げることができ、さらには周囲の歯茎を傷つけるリスクも減るため、術後の不快感の低減も期待できます。

審美治療(被せ物治療)

被せ物をする際に一番大切なことは、確実な接着です。
一見しっかりくっついているように見える被せ物でも、この接着処理が不十分であることがよくあり、気づけば被せ物の内側で大きな虫歯を作ってしまいます。
もちろんせっかく審美的な被せ物を入れたとしても、早期に虫歯になってしまっては元も子もありません。
マイクロスコープを覗くことで歯と被せ物、両方の接着処理を確実に達成することができ、被せ物だけでなく、歯そのものの寿命を大きく伸ばすことに貢献します。

精密根管治療におけるマイクロスコープの重要性

マイクロスコープの恩恵が最も得られる治療の一つとして、根管治療が挙げられます。
歯の内部は暗く複雑で、肉眼や低倍率の拡大鏡では決して中を確認することはできません。
さらに奥に行けば行くほど細くなり、最終的には針の穴ほどの太さになります。
なので歯の内部の確実な消毒にはマイクロスコープだけでなく、専用の器具や薬剤の使用が必須になります。

またよく散見されるのが、根管の見逃しによる根の病気の再発です。
それぞれの歯の中にある根管の数は人によってさまざまで、教科書で語られる知識だけでは不十分です。
さらにはレントゲンにも写らないほど細い根管も珍しくないため、実際に見て確認することでしか確実な診断はできません。

根管治療は他の治療と大きく異なり、歯の内部を削り感染源を除去します。
その分、歯に与えるダメージも非常に大きく、何度も繰り返し治療することは現実的ではありません。
一説では平均で2〜3回目の根管治療でそのまま抜歯になるとも言われています。
そのため治療の精度がその歯の寿命に大きく関わり、とりあえずで治療して後悔する方も少なくありません。

根の病気は症状の有無に関わらず、感染している時間が長ければ長いほど治療の成功率は下がっていきます。
少しでも不安がある方は、是非お早めにご相談ください。

よくある質問

Q

マイクロスコープを使う治療は痛みがありますか?

A

マイクロスコープの使用の有無に関わらず、治療後は一時的な痛みが出ることがあります。
これは治療行為自体が、歯や周囲組織に少なからず刺激を与えているためです。
しかし、マイクロスコープを覗くことによりオーバートリートメント(過剰な切削や消毒)を防ぐことができるため、結果として痛みの低減につながります。

Q

歯科医院におけるマイクロスコープの普及率はどのくらいですか?

A

日本国内でのマイクロスコープの普及率は約10%ほどです。
また導入している歯科医院でも日常的に使用していない歯科医院も多く、使用するドクターにも高度なスキルが要求されるため、実際の使用率はさらに低いのが現状です。

Q

マイクロスコープを使った根管治療の費用はどのくらいですか?

A

部位や症状によって異なるため、一度受診していただくことをおすすめします。
また根管治療の費用ページにも記載しておりますので、そちらもご参照ください。

まとめ

マイクロスコープは、全ての歯科治療を一段階上のレベルに引き上げることができる非常に優秀な機器です。
まさに歯科治療に革新をもたらしたと言っても過言ではありません。
加部歯科医院では再治療のリスクを下げるべく、一口腔単位での治療に尽力してきましたが、やはりそれを叶えるためにはマイクロスコープは必需品です。

対症療法ではなく原因療法を、とりあえずではなく確実な治療を皆様にお届けできるよう、加部歯科医院はこれからも精進して参ります。

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