糖尿病と歯周病の意外な関係
「生活習慣病」の一つに、皆さんもよくご存知の「糖尿病」があります。今回は、この「糖尿病」が歯の病気とどのような関係があるかをお話しします。
糖尿病になると...
「糖尿病」になると、お口の中では唾液の出る量が減るため、のどが渇く状態になります。お口の中では唾液が食べ物のかすや、細菌を洗い流しています。唾液があまり出ないとお口の中がとても不潔になりやすく若い人では虫歯の発生が多くなります。
中高年の人では、歯周病にかかりやすく、総入れ歯になる比率が高いという報告もあります。
ですから、この病気になってしまったら原因を断つためにも、普段以上に口の中を清潔に保つ事が必要です。
糖尿病 第6の合併症「歯周病」
最近では、歯周病と糖尿病には密接な関係があるといわれていまして、「糖尿病の第6の合併症」といわれるほどになりました。一体なぜでしょうか?
まず第一に、糖尿病では血液のなかに糖がたくさんある状態がつづきます。そうすると血管が弱くなり、硬くなります。
そして白血球などの歯周病の原因細菌をやっつける部隊も詰まりやすくなり、交通渋滞、事故渋滞にまきこまれ、炎症(歯ぐき)まで到達できなくなってしまうのです。
すると炎症(火事だと思って下さい)は簡単に進んでしまいどんどん広がり、歯ぐきのすぐ下にある骨をどんどん溶かしていきます。
そして第二に、歯周病の原因細菌は毒をもっています。この細菌は歯にくっついたあとに毒を放出します。毒は歯ぐきの内部の血管に入りこみ、まず血管を攻撃します。最近では血管年齢という言葉がある様に、血管の健康はアンチエイジングにとても大切です。この大事な血管を歯周病の原因細菌は壊していくのです。
さらにその毒は血管内に入り込み、インスリンの働きを鈍らせようとします。
※インスリンは糖の吸収をコントロールしています。そして糖尿病はインスリンの働きが悪くなる病気です。
悪循環に陥ってしまう、糖尿病と歯周病の関係
つまり歯周病の原因細菌が出す毒は、糖尿病で傷ついた血管をさらに攻撃して弱らせた上、ただでさえインスリンが足りなくて困っているところに、さらにインスリンの働きを鈍らせようとするのです。
糖尿病が歯周病によってさらに悪くなることが、おわかりいただけると思います。
糖尿病治療の基本
さて糖尿病治療の基本は適切な「食事」と「運動」です。
しかし、歯周病が進んで歯を失ってしまうと、あまり噛めなくなります。すると自然と歯ごたえのない、軟らかな食品を好むようになります。
ご飯、うどん、そば、ラーメン、食パンなどや、加工品のハンバーグ、つくね、チーズ、カレー、プリン・・・。 こうした、軟らかな食品にはブドウ糖やショ糖などの吸収の早い糖質が多く含まれるものが多くなり、血糖値を急激に上げる危険があります。
また、主な栄養も糖分や脂質に偏ります。
体によい食事とは
逆に歯ごたえのあるものはどんなものでしょう。
生野菜、果物、刺身、ステーキ、焼肉、小魚、玄米など、イメージとしては噛んでるうちにさらに味がでてくる食品です。こうした食品には、たくさんの酵素(体でも産生されますが、現代のストレス社会ではどんどん消費されてしまいます)やタンパク質、食物繊維などが多く含まれ、健康な体を維持するのには欠かせません。
しかしながら、忙しい現代社会において、柔らかい食品は溢れています。
町を見わたすと、簡単にお腹を満たすことのできる海外、国内のファーストフードチェーンがひしめいています。美味しいですし、安いし、早いし便利ですよね。
しかし無栄養、ハイカロリーで、糖尿病・肥満・歯周病の大敵です。噛んでいるとすぐドロドロになって口の中で溶けてしまいます。
健康を維持する「食事」の大切さとは
体調も無栄養で悪くなるし、食べた気がしないと思うのは私だけでしょうか。しかし栄養のある食品を食べようとすると、すこしの時間と費用がかかります。
生もの(生野菜、果物、魚、肉)は日持ちがしません。お店でも新鮮有機野菜はそんなに安くはないですよね。魚にしても、肉にしても原型をとどめているものは栄養価が高いですが調理するにも食べるのにも手間がかかりますし作り置きもできません。
でも考えてみて下さい。病気になったらその何倍もの時間、費用がかかってしまします。
完全に病気が発症しなくても「未病」という状態にもならないようにしないと元気ではいられません。加工品はちょっと昔までは保存食であったということです。
外食をするときには、この事実を念頭においてなさることを強くおすすめいたします。
かけがえのない健康を維持していくために
食生活のお話になってしまいましたが、私は、糖尿病も歯周病も虫歯も、自己管理が必要な生活習慣病だと思っております。
病気の認識をもち、自分自身で治そうというふうに、ちょっと我慢したり、ちょっと頑張らないと病気に打ち勝つことはできません。
トータルケアの大切さと加部歯科医院の治療
当院ではお口を「全身の中の一つの臓器」として考えています。全身の臓器は全て連携しあっているので、お口を最良な状態にすると、他臓器への負担を無くす事ができます。
最良な状態とは...
- 悪玉の細菌がいない
- 正しい噛み合わせであること
- 審美的であること
- 筋肉のバランスがとれていること
お口は手を入れることが出来る=コントロール出来る、体の中では珍しい部分です。
私は、お仕事、御家庭でお忙しいと感じられている方こそ、ちょっとした手間をかけ体に取り入れる食事を考え、ちょっとしたお口のセルフケア&キュアをしていただき、いつまでも体も心も調子のいい状態でいていただきたいと考えております。
皆様の健康向上のきっかけ作りから、お体全体の良いサイクルが生まれることが私たちの望みです。
当院のスタッフ全員が医療に携わる者として、皆様に健康であることの喜びを感じて頂きたいと願っております。
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